この地に根ざした人々が守り育ててきた
里山のゆたかな実りがあふれています。

ニッポン里山遺産といいたい、
宝石のような実りの数々

三戸地方は、春の山菜、夏の川魚、秋のきのこなど、山の幸が豊富です。その恵みを守るため、山はきちんと手入れされ、美しく保たれてきました。いっぽう、その斜面や台地にある変化に富んだ果樹園や畑では、在来種や戦前からの伝統品種が大切に育てられています。がまずみや山栗、百合根など、山の恵みを移植して育てている畑も見られます。人と自然が文字どおり共生している三戸地方の里山は、規格品・量産品とは対極にある、多様で個性的な産品のふるさと。「ニッポン里山遺産」とでもいいたい、忘れられかけた味の宝庫です。

百年紅玉
10月

明治30年代から4代にわたって守られてきた、樹齢130年を数える紅玉の古木から獲れた紅玉です。篤農家である山田敏実さんにより大切に育てられ、真っ赤な大ぶりのリンゴをたわわに実らせます。一般的に果樹の寿命が30年と言われるなか、100年を超す現役の古木を20本も残すのは、技術力の賜物。若い木よりも酸味が軟らかで、豊かな甘みとコク、深い味わいがあるのが特徴です。

紅玉
10月

19世紀にアメリカで生まれたりんご・紅玉は、豊かな甘みと酸味が魅力で、ことにスイーツづくりには最適の品種ですが、栽培が難しく収量が少ないため、最近では希少品種になっています。紅玉栽培に適した三戸地方では、かつて「日本一の紅玉」とも呼ばれた樹齢百年を超える「百年紅玉」を含め、今も大切に作り続けられています。

ミニふじ
10月

直径4~5センチの小さな可愛いリンゴ。皮をむかずに、まるごと食べられます。小さくても果汁たっぷりで、シャキッとした歯ざわり、甘さと酸味のバランスも絶妙です。糖度もりんごの王様「ふじ」と同じ13~14度あり、「ふじ」に勝るとも劣らない味と評されます。生産農家は、青森県三戸町の水野さん、ただ一軒だけが生産するとても希少なりんごです。

がまずみ
11月

全国の山野に自生する低木で、晩秋に実る真っ赤な果実は、赤ワインと同等のポリフェノールとレモン以上のクエン酸を含み、マタギさんたちのエネルギー源だったという和製スーパーフルーツです。三戸の里山のガマズミは最も良質とされ、多くの人がジュースや果実酒にして、コーディアル(強壮飲料)として愛飲しています。

ジュノハート
7月

青森県が開発したさくらんぼ新品種。ハート形の可愛い形が特徴で、鮮やかなルビー色が目を引きます。大きさは、国産品種の中でも最大級で一粒一粒に食べ応えがあります。果肉はかためで適度な果汁があり、糖度は約20度もある甘みと、ほんのりとした酸味の絶妙な味わいです。美しい外観とすぐれた食味から、贈答品としても最適です。

はるか
11月

綺麗な明るい黄色の果皮に、切ってみると中には蜜があり、かじるとしっかりとした固めの歯触りが感じられる、とてもジューシーで爽やかな味わいのリンゴです。大きさは、250~350gほどで、柔らかな酸味に、蜜が入った糖度は17~20度にもなります。青森でも生産量が少なくとても貴重なりんごです。

キャンベルアーリー
9月

糖度は13~16度程で、食べると濃厚な甘酸っぱさが感じられます。果肉はとてもジューシーで、甘酸っぱい果汁をたっぷりと含んでいる事から、生食以外にもジュースやワインの原料にも用いられています。親しまれている巨峰も、源をたどればこのキャンベルアーリーなんです。

ホップ
9月

三戸町斗内地区は、ビールの苦みや香りの原料となるホップの名産地です。里山の地質や「やませ」の吹く冷涼な環境が、ホップ栽培に適しているのです。ホップはアサ科の多年生つる草で、雌株がつける「毬花」という花に似た部分が、ビールの原料になります。9月にこれを摘み取って乾燥させ、ビール会社に向けて出荷します。

行者にんにく
4-5月

ネギやニラなどの親戚ですが、強いにんにくの香りを持つ山菜です。温暖な地方では高山でしか採れないので、深山で修行する行者さんのにんにくと名づけられたようです。成長が遅く、収穫まで5年もかかるため、天然物が激減し、幻の山菜といわれます。三戸地方の里山ではよく採れ、畑で栽培している農家もあります。

福地ホワイト六片
6-8月

最高級品としての評価が定着した、青森県産にんにくの代表品種。実は、三戸郡南部町福地地区原産の在来種で、主産地は三戸郡を貫く馬淵川(まべちがわ)流域です。大玉で雪のように白く、立派な4~6片に実り、香り、辛み、甘み、栄養価ともに優れています。多くの農家が競い合うように工夫を凝らし、品質を向上させています。

大葉赤じそ
6-7月

青森県で伝統的に栽培されている赤紫蘇の特徴は、葉っぱが一般的な赤紫蘇の3倍ほどの大きさに育つことです。このため、塩漬けにしたものはおにぎりの海苔代わりになります。三戸地方では、豊かな風味と栄養価を活かしたしそジュースづくりが盛んで、道の駅には多くの女性たちの自慢の味が、競い合うように並んでいます。

桑の葉
7/9月

シルク産業全盛の明治から昭和初期にかけては、三戸地方でも盛んに養蚕が行われていました。その後、シルク産業とともに桑の栽培も廃れましたが、三戸町内には樹齢百年を超える国内最大級の桑の巨木が残されています。桑の葉には蚕だけでなく人間のための有効成分も多く、三戸産の桑の葉茶は、香り豊かで飲み口もなめらかです。

えごま
10月

青じそと同じ品種で、その小さな種は、縄文時代から食用にされてきました。三戸地方では「じゅね」と呼び、ごまのように炒ってすりつぶし、三戸せんべいに混ぜたり、味噌と混ぜて餅に塗って「じゅねもち」を焼いたりしています。また、えごま油は韓国料理に欠かせない素材ですが、近年ではその健康効果が注目を集めています。

すもも
6-9月

寒暖差の大きい三戸の里山は、すももの栽培に適しています。6月の「大石早生」から7月の「ソルダム」「貴陽」、8月の「太陽」、9月の「秋姫」まで、栽培品種が多く、多彩な味わいが長く楽しめます。また、それぞれの品種の収穫期が全国で最も遅いので、最後までおいしいすももが味わえると、ファンの間で喜ばれています。

山栗
10月

山栗(芝栗)は、縄文時代から食べられてきた、日本の栗の原種です。甘みも風味も豊かなのですが、小さくてむきにくく手がかかるため、栽培種にとってかわられ、今ではたいへん入手しにくくなっています。三戸の里山ではこの山栗が大切に育てられ、地元で愛用されています。生産量が少ないので、希少品に変わりはないのですが。

百合根
11-12月

オニユリなどのユリ科植物の球根で、栄養豊富で高級食材として、また漢方薬としても知られています。北海道産が有名ですが、三戸の里山でも良質な百合根が採れます。栽培している人もいますが、これにはたいへん手間がかかり、球根から始めると収穫までに6年。さらに収穫から次の植え付けまで7年以上待たなければなりません。

かわがに
9-11月

かわがに(モクズガニ)は、上海蟹の親戚で、全国の河川に見られます。三戸町内の馬淵川でもよく採れましたが、最近では少なくなっていました。町内の割烹・白山ではこれを惜しみ、川蟹すいとんをメニューに復活。身も甲羅もすべてたたいてだしを取った濃厚なスープは、地元でひっつみと呼ばれる手延べのすいとんによく合います。

地産大豆
9-11月

三戸町では、大量・安価な輸入大豆に頼らず、地元産の大豆を使った味噌・醤油・豆腐作りが続けられています。品種はオオスズ、ムツシロメが中心で、小野寺醸造元では伝統的な豆味噌、南部玉味噌を醸造。貝守集落の貝守やまゆり会では、すべて地元産の大豆を使って豆腐から凍み豆腐を手作りし、町民に愛用されています。

地産小麦
10月

米の栽培に適していなかった三戸はじめ南部地方では、小麦が盛んに栽培され、三戸せんべいや「ひっつみ」「つつけ」などの粉食文化が発達してきました。農家が自家製粉した小麦粉を、せんべい店に持ち込んで焼いてもらう習慣もあったといいます。今、そのころの伝統品種「フルツマサリ」を復活させるプロジェクトが進んでいます。